テスラモデルS試乗してきました

2013/10/26 14912hit

テスラ モデルSに試乗してきました。

テスラモデルSは米国のテスラ社が作った高級電気自動車。
大手自動車会社ではなく西海岸の新興企業が作ったということ、斬新な内装や高性能のパフォーマンス、高級車として十分な存在感、電気自動車離れした巡航距離と世界中で話題になっている車です。
試乗会はホテル日航福岡で行われました。
試乗コースは博多駅周辺で市街地だけでの試乗です。

受付に置いてあったのが充電ケーブル。
ケーブルは太くちょっとしたホースくらいあり、重さもある。

このケーブルのコンセント側は取り外し可能になっていて、様々な電源に対応できるようになっている。
これにより一般家庭によくある100v、200vでの通常充電に加えて日本で普及しているCHAdeMOからの急速充電にも対応
家庭用の電源で通常充電を行った場合、1時間で約10kmの走行分充電が可能とのこと。

これは家庭用の3端子プラグ。


モデルSはグレードが3つあり、60kWhモデル、85kWhモデル、85kWhPerformanceモデル。
それぞれ、NEDCの想定航続距離は375km、500km、500km
0-100キロ加速は6.2秒 5.6秒 4.4秒
最高速度は190km/h 200km/h 212km/hとなる。
モデルSの85kWhモデルの場合、走行距離は500kmなので空っぽの状態から満充電にはほぼ丸2日必要って事になる。
日帰り旅行の場合、旅行先に充電器がないことを想定すると250km程度しか走行できないので遠出が多い人にはちょっと辛いか。

試乗車が戻ってきたので実物を見てみる。
モデルSの外見は背の低いスポーツセダンタイプ。
流線型で塊感あるボディーはジャガーを彷彿とさせ優雅さが漂う。
幅広のボディーに加えてエンジンがないためボンネットが低く抑えられており安定感のあるデザインとなっている。
イギリス風の優雅さを持つが、全長は4978mm、全幅は2189mmもありサイズは昔ながらのとしたアメリカ車と言える。
全幅の比較で言えばハマーh1に近く全長はクラウンを超える。
一方全高は低く抑えられており、スカイラインセダンよりも低い。

ボンネットの中身はトランクになっており。ミドシップエンジンのように荷物を入れる事ができる。、普通のミドシップに比べてフロントノーズが長いため、トランクは前後方向に広くこれだけで日常生活においては必要十分なサイズの荷物が入りそう。

それだけではなく、さらにリアにも充実した荷室を備えている。
モデルSは5ドアハッチバックになっていてトランクは軽くワゴンくらいのスペースが確保されている。

トランクの床下には折りたたみのチャイルドシート(2座席分)が格納されている。(10歳以下限定)
このオプションを選択すれば、5+2で7人乗りになるので殆どミニバンに近い使い方ができそう。
とはいえ、トランクに子供を逆向きに載せるというのは実用的とは言いがたくあくまで緊急時用と割り切ったほうが良さそう。

この3列シートのオプションは日本仕様に盛り込まれるかは不明とのこと、試乗車でもチャイルドシートのお試しは出来ない旨が伝えられた。

TESLAのドアは普通の車と違い鍵穴どころかドアノブすらない。

ドアノブがタッチパネルになっていて鍵を持った状態でドアノブを触るとドアノブが浮き出てくる。
ハイテク感の演出はさすがアメリカのベンチャー企業といったところ。
既存の自動車メーカーなら軽量化とかコストダウンとかでまっさきに犠牲になりそうなところを作りこんでいる。

センターコンソールに設置された巨大なスクリーンは17インチものサイズを誇る。
一般的なカーナビは大きくて7インチ程度しかなく、17インチと言えば巨大なノートパソコンやデスクトップPCレベル。そんなのがセンターコンソールに縦置きで鎮座しており各種操作を行うことが出来る。
設定できる項目は回生ブレーキの効き具合やステアリングのレスポンス、疑似クリープのオンオフ、トラクションコントロールの設定、ライトの設定(通常は明るさに応じて自動点灯)、

サンシェードを1%単位で開いたりトランクを電動で操作することもできる。

画面のデザインはグラフィカルで最近のスマートフォンにおけるリッチなUIを見慣れた目にも新鮮に映る。
パーキングブレーキレバーは存在せずタッチパネルによる操作かATセレクターをPにするとサイドブレーキが自動でかかり、フットブレーキを踏み込んだ状態でATセレクターをDにすれば解除される。

運転中は画面をバックビューモニター+カーナビの表示にするのが便利に感じた。
バックビューモニターは明るく広角なレンズで高精細な画面との組み合わせで死角が少なく鮮明で直接後ろを見たかのような安心感がある。
通常のバックビューモニターを覗き見ると例えるなら、このモニターは眺めるという感覚。

2画面に分割するだけでなく、ナビを全画面で表示することも可能。
ナビはGoogleMapsを使用。フルサイズで表示すると細部から町の様子まで分かって全体の概要か、この先しばらくの道しか表示できない普通のナビとは印象がまるで違う。
当然GoogleMapsを使うためには通信回線が必要なんだけれど、その通信回線は車載されていてテザリングを行うことも可能。
なので、子供にWi-Fiタブレットを渡してYouTube見せたりも出来るってわけ。
ただし通信キャリアは未定なので細かな内容がどうなるかは今後積めるとのこと。
通信機器自体は車載されているが携帯電話とBluetoothで接続しハンズフリー通話を行うこともできる。


最初は後部座席で試乗。
乗っている感覚としてはとても自然。そして静か。場所は博多駅のど真ん中でそれなりに喧噪もあるはずなのに走行音はもちろん、外の様子が殆ど聞こえず、車内での会話はまるで落ち着いた室内にいるかのように行うことができる。
プリウスに試乗したときにはタイヤの転がり音や他の車の走行音、インバーター音などがダイレクトに入ってきてウルサイ車だなぁという気がしたのですがTESLAに関してはそういうのが全くなく静音性はレクサスLSレベルと考えて良い。

静粛性に加えて広大なホイールベースとトレッドによる揺れの少なさも魅力。
4人で乗っていたことを忘れるほどに広い車でこれだけ快適ならVIPの送迎車としても使用できるはず。

ホイールは21インチ。一昔前は、走り屋が乗り心地を犠牲にして17インチを履いていたことを考えるととんでもない話。
こんなにホイールが大きいと轍に車輪を取られたりコンビニの入り口でホイールをすったりしそう。残念ながら博多駅近辺は舗装状況が良く、試すことが出来なかった。

次はいよいよ自分で運転して見る番。

後ろに乗って想像していたのとまるで違うの運転心地。
とにかく楽で、今までに味わったことがない自然なトルク感の加速が味わえる。
小道から大通りに合流する。
週末の博多駅は多くの自動車と、自転車や歩行者が多く行き交っている。
タイミングを見計らって本線に出る。
普通に自分の車でも緊張する場面。
加速は滑らかではないと行けないが不足しても危ない。
ATの場合停車からの加速はトルコンの圧が高まっていて慎重にアクセルを踏まないと急発進になってしまう。
そこでタイミングを見計らってブレーキから素早く足を離しクリープで車が動き出した後でアクセルペダルを踏み加速が必要。
MTの場合、半クラッチを経てエンジンとタイヤの速度差を無くして、本加速へつなぐ。
ATにせよ、MTにせよ加速に2段階の状態があって、それを考慮する必要がある。

テスラはクリープも加速も全てモーター制御、途中にクラッチの介在もないので0km/hから一定した感覚で加速することが出来る。
この無段階な感じは渋滞時にクリープだけで進む時に近い。
その感覚を保ったまま本線合流まで加速することが出来る。

この一定した加速感はスタート時だけでなく、走行中でも同じ。
ガソリン車の場合、ATにせよMTにせよその時の回転数に応じて加速感が変わるが、テスラはいつでも0km/hからのスタートの時と同じように加速することが出来る。
どんな状態であっても同乗者の誰にも気づかれないほどゆっくりと速度を足すのも、ターボのブーストがかかったような獰猛な加速を絞り出すことも思いのまま。

よくよく試してみると単にアクセルペダルの踏む量とトルクは単純に一致しているわけではなく、踏み方でトルクの出方が変わる、すばやく踏むとペダルとタイヤが直結したかのようにタイムラグ無く加速を始めるが、ゆっくりと深く踏むとまるでガソリン車のように一瞬ためをおいて加速を始める。
この加速方法なら人間が無意識に身構えることが出来るので乗り心地が随分と良くなる。
ここのチューニングが実に巧妙で初めて乗る車なのに、欲しい加速をちょうど良く作り出すことが出来る。
加速を文字通り意のままに操れることで不安要素がなくなり運転が楽で楽しくなる。

自然と言えばステアリングのレスポンスも自然。
当然電動ステアリングなんだろうが、まるで油圧ステアリングのように滑らかでモーターの介在を意識させない。
テスラのモーターは後輪のみを駆動しFR車やMR車のように前輪にトルクステアの影響を受けない。


逆に不自然さを感じたのがアクセルを抜いたときに生じる回生ブレーキの効き具合。
一般的なATで言うと2速に入れたときかそれ以上の勢いで減速していく。
惰性で走り続けるというより、積極的に減速していく感じ。
おそらくは、回生ブレーキを積極的に活用することによって航続距離を稼ぐようなチューニングになっているのだと思われる。

そのため運転の仕方としてはアクセルを1割ほど踏んだところをニュートラルとして、そこから踏みますとアクセル、緩めるとブレーキという1ペダル操作を意識すると走りやすく感じた。
回生ブレーキは速度が落ちてくるとキャンセルされるので停車中の最後だけフットブレーキを踏む必要があるが、通常はアクセル操作だけで町中を走ることもできそう。
この挙動が気にくわない人は回生ブレーキの効き具合を調整することも出来る。
この設定をLOWにすることで普通のガソリン車のように惰性で走り続けることも出来たけれど、航続距離への影響は不明。
フットブレーキに関してはこれより自然で、これはプリウスで感じた感覚の逆。

視界も良い。
ウィンドウが全方位大きく周りが見やすい。
長いフロントノーズも高さが抑えられているおかげでまったく気にならない。
ミラーが小さいのでそこだけ注意すれば2mを超える全幅を持つ車を運転しているという感覚はなくなる。

ホテルの駐車場にバックで停めてみたのですがこれも楽。
視界が良いことに加えてなんといっても広大なバックビューモニターの効果が凄い。
広角なので周りを広く見ることができるだけでなく距離感も掴みやすく、まるで直接後ろを見ているように運転しやすい。
駐車で言うとデュアリスやアクセラのほうがよっぽど駐車で気を使う。

唯一、イマイチに感じたのはウィンカーレバーを操作した時の質感。
全体の品質が高いのでここだけ質感が劣ったのが目立った。
最近の国産車のようにコクッコクッとレバーが動くのではなく、グニャッグニャッと剛性感なく倒れるのが気になった。

試乗してみて感じたこと。
後部座席に乗っているときは目を引く巨大なスクリーンやおしゃれな室内などに気を取られたけれど、実際に運転して思ったのは車として良くできているということ。

トルクの自由自在感はモーターならではの楽しさで、電気自動車「でも」楽しめるのではなく、電気自動車「だから」楽しめる。
官能的なエンジンがふけ上がる音が楽しさが無くなることも杞憂だった。
CVTエンジンなどと違い、ずれているエンジン音そのものが存在せず、無音であることで加速はGと路面からの細かな振動だけから感じる。
エンジン音そのものがないおかげでずれている感覚自体が存在せずガソリン車以上の一体感を感じる。
おもえば自動車以上に一体感がある自転車にはエンジン音がないわけで、それまで勝手に思っていたエンジン音が一体感の演出に絶対必要という概念そのものが間違っていたことになる。
ステアリングの自然な感覚や視界の広さなども相まって運転は楽で楽しかった。
我慢して乗るエコカーじゃなく贅沢して趣味として楽しめた。

しかし、テスラモデルSが日本で爆発的ヒットをもたらすかと言うと色々怪しい。
一番には2メートルを超える全幅で日本に置いては実用性を語る上でゼロに等しいと言っても良い。
長くなった航続距離も充電の長さを考えるとまだ物足りないし、充電設備も増えないと行けない。
日本での価格は未定だけれど7万ドルは高すぎる。

ただ、テスラはあえてそこを無視した上で理想の車を作ろうとしたように思える。
車で言えば比較されるのはフェラーリであり、ベンツであり、リーフやプリウスPHVとはコンセプトそのものが違う車に思えた。

車体サイズの小型化は今すぐにでも出来るし、価格もそのうち下がるはず
航続距離の問題はインフラが絡むので難しいが改善はされつつある。
そうなってくると、維持費、乗り心地、運転の楽しさで電気自動車はガソリン車より優位に立てる。
そう思うと電気自動車が普通にガソリン車に取って代わられる時代は時間の問題でしかないように思えた。

試乗から帰ってきたら、前に試乗した人が一言、
「今予約しました。」

意外と言う感覚はなくただただ、うらやましいとだけ思った。




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