脱Excel方眼 Word超入門

2011/8/2 14868hit

Wordと言うと、大抵は悪い反応が返ってくる。使いづらい、不良品、Excelのほうが簡単。
実際にExcel方眼という極端に列の幅を狭めたExcelシートを作り、ドキュメントを書く人は少なくない。

これをやってはいけない

ところが、Excelはそういう使い方を想定していないので多くの不具合が出てしまう。
印刷されるたびにどこかが消え「です。」とだけ書かれた文書が印刷され、見出しと実際のページ数がずれ1ページ目だけカラーのドキュメントが印刷されたりする。
なお悪いことに、それらを全て修正したドキュメントを作っても1行新しい行を増やすたびに新しいトラブルが発生する。

この文書を書こうと思ったきっかけは、そんなExcel方眼で作られたドキュメントの手直しをするのに飽きてしまい
Excel方眼の修正で人生を台無しにするくらいなら、映画の一本でも余計に見たいと思ったから。
そんな中、XHTMLを書く過程においてWordでやるべきことが見えてきて、それを守れば簡単に柔軟なドキュメントを書けることが分かった。

確かにWord(特に2003以前)は完成度の低い部分が少なくないけれど、
守るべきルールを守ればとても十分使える。

Wordを使う上での心構え

Wordを使う上では2つの心構えが必要。

1.Wordは見た目と文書構造が切り離されたツールである。
本文を書いているときは見た目のことを忘れたほうが良いし、
見た目のことを考えているときは本文の細かいことを想定する必要がない。

2.本文を書くときは文書構造を意識する。
Wordは理系のツールである。
一太郎やワープロといった文系向けツールからWordに乗り換えた人が「使いにくい」と感じる大きな理由がここにある。
文書を書くときは「ここを赤色にしよう」とか、「もっと右側に書こう」などと考えず「ここは注釈」、「ここは一覧」と考える必要がある。

使う機能

Wordの殆どが「使わない」機能であるが、3つだけ大切な覚えておくべき機能がある。
「編集記号」、「スタイルと書式」、そして「改行」。

編集記号について

Wordを使っていて突然改行したり、突然文字の位置が大きく動いたりする場合、殆どは編集記号に原因がある。
編集記号は改行や改ページなど、印刷したときには見えない要素でこれによってWordの文章は制御されている。
編集記号が非表示のうちはWordの動きを理解するのは難しい。
Word2003の場合はメニューバーの[ツール]-[オプション]より表示タブを選択し、
編集記号の表示にある「すべて」にチェックしておこう。

スタイルと書式について

文字の大きさやフォント、色、位置を指定するのは「スタイルと書式」で行う。
上のほうにある色とりどりのボタンを使ってはいけない。
フォントボタンも色ボタンも改ページボタン中央揃えも使ってはダメでこれら自爆ボタンは殆ど正しく機能しない、それぞれのスタイルはお互いに干渉し合いレイアウトを破壊してしまう。

Wordで文書を作る場合は、まず最初に「書式」を作成する。
ツールバーの「標準」と書かれた項目の左側にある青とグレーのAAボタン書式ボタンを選択するとスタイルと書式が右側に表示される。
もし、新規作成されたファイルであれば見出し1、見出し2、見出し3、標準が表示されているはず、
自爆ボタンを押されたドキュメントであれば削除すべき無数の砕かれたスタイルが散っているはず、その状態から復活させることは不可能なので、1から作りなおそう。
書式の見た目を変えるには「適用する書式の選択」に表示された書式を右クリックし「変更」をクリックする。
スタイルの変更ウィンドウが開きフォントや文字サイズなどを指定できるメニューが出てくる。
「書式」を開くとさらに細かいメニューが出てくる。


標準のフォントは「MS 明朝」となっていると思うが、もう少し見栄えがするHGP明朝Bなどに変更し、文字を右そろえにする。(標準では両端揃えになっているが、これが突然謎のスペースが生まれたりする元凶の一つ)
見出しの文字サイズをもっと大きくしたり、下に罫線を引いたりしてバランスの良い見た目に調整する。
「書式」ボタンを押し「段落」の「インテントと行間隔」タブで段落前に0.5あるいは1行を設定する。
「改ページと改行」タブで「次の段落と分離しない」「段落を分割しない」にチェックを入れる。
「書式」ボタンを押し「箇条書きと段落番号」をクリックし段落番号を選択する。
これで準備完了。

見出し以外の新しい書式(備考や注意事項など)がある場合は「スタイルと書式」で「新しいスタイル」を選択する。
基準にするスタイルを設定すると既存のスタイルが変更されると自動的に書式へ反映されるようになる。

より使いやすい文書にするにはスタイルの数を増やしすぎないのが大事、
一般的には下のような書式を追加することになるはず。
「見出し1改頁」、「見出し2改頁」、「強調」、「ソースコード」、「補足」

書式名が文書の意味合いと一致するようにしておく。
このように書式と文書の意味合いを1対1にするのは書式を管理しやすくするとともに、意味合いと見た目に一貫性を持たせることで読みやすい文書にするという狙いもある。

「見出し1改頁」を作るには、
「新しいスタイル」をクリックして、名前に「見出し1改頁」、種類は「段落」、基準にするスタイルは「見出し1」、次の段落のスタイルは「標準」を選択肢、
書式ボタンから「段落」をクリックし「改ページと改行」タブにて「段落前で改ページする」にチェックを入れる。
見出し2改ページは基準が見出し2となる以外は同じ、
「強調」を作るには
「新しいスタイル」をクリックして名前に「強調」、種類は「文字」、基準にするスタイルは「現在の段落のスタイルのフォント」で
書式にあるBマークにチェックを入れておく。
「ソースコード」を作るには
「新しいスタイル」をクリックして名前に「ソースコード」、種類は「段落」、基準にするスタイルは「標準」、次の段落のスタイルは「標準」とし、書式に等幅フォントを指定しておく。

このようにスタイルには目安となるもとのスタイルを定義し、そこから派生した差分を設定しておく。
ドキュメントによっては他にも「あて先」や「締め」など新しい書式が必要となるかもしれない、後から使い分け出来る程度の数に抑えておくことが大事。
書式の設定はWordで一番大変な部分で、良いスタイルと書式が出来たらテンプレートとして保存する価値がある。

以降文書を飾る時は直接フォントなどを指定するのではなく、作った書式を選択する。
書式を設定したい場所を選び、ツールバーにある「標準」を指定して、設定したいスタイルを選べばいい。

もし、定義したスタイルでは表現できない位置や色の文字をおきたいと思ったなら、
「本当にそれを行う必要があるか?そこに置くべきなのか?」を考えてみる。
書式が増えると管理を混乱させるだけでなく見栄えも悪くするしてしまうので、多くの場合既存の書式を使ったほうが良くて、どうしても必要な場合のみ新しいスタイルを追加する。
また「スタイル 1」や「最初の行:7.5mm」といった意味合いと紐付かない書式は作ってはいけない。

※上のツールバーで色やフォントを直接変えたりしてはいけない。
それらを行うと暗黙的に新しいスタイルが定義されるが、それがどのようなスタイルでどのような名称、どこで使われるかは想像しづらく、思いがけないところに副作用が及ぶことがある。
類似の注意点としてタブやスペースで先頭文字の位置を調整するのも裏でスタイルが作成されるので行ってはいけない。
インデントを使うにはインデントが行われた書式を最初に作ってそれを反映させた方がいい。

まとめると、本文を書くときはレイアウトを意識しない。
見た目の修正は唯一書式とレイアウトのみで行う。
それ以外の場所では設定しない。
書式とレイアウトは複雑で多機能なので、よくなじむまではいろいろ使って覚えるのが良いけれど、
最終的には出来るだけスタイルの数を少なくする。

適切な書式を作り適切に見出しを配置すれば目次のパワーを使うことが出来る。
目次はそれぞれの見出しの一覧が表示されるだけでなく、見出しがあるページ番号を表示したり、さらにはPC上であればそこへ一発で飛ぶことが出来る便利な機能を持っている。
使い方は簡単で、[挿入]-[参照]-[索引と目次]を選び目次タブでOKを押すだけ
追加された目次で右クリックし[フィールド更新]-[目次を全て更新する]でOKをクリックすれば目次はすぐに最新の状態に更新されて便利でCtrlキーを押しながら見出しをクリックすればその見出しへ移動してくれる


改行について

おそらく、Wordで最も使われていないであろう機能が「改行」。
「改行」は同一段落内で次の行に改める機能であるが、多くの場合「改行」を使うべき場所で「改段落」が誤用されている。
「改行」を使うべき場所は多くはないけれど、正しく使うことで幅広い表現が出来る。
改行は「Shiftキーを押しながらEnter」キーを押すと入力される。単に「Enter」だけを押すと「改段落」が入力される。
HTML的に言うと改行はbrタグに相当し同一段落で行だけが新しい行に移ることを示す。改段落はpタグに相当し、そこで文書の段落が変わること、別の文となることを示す。

これら二つは通常見分けがつきにくく、しかもEnterを押すという直感性が改段落の誤用を生んでる。
改行と改段落は編集記号を表示することでそれらを見分けることが出来るようになる。
改段落は逆L型の矢印で改行は直線的な矢印で表現される。

正しく改行と改段落を設定すると以下のように段落ごとに空白が開いた見やすい文書を作ることも出来る。

段落間の空白は唯一つの改段落によって実現していて「スタイルと書式」で標準の段落について、間隔の段落前に1行を追加することで実現できる。
スペースが開くのは「改段落」で段落が変わった場合で、テキストの折り返しや改行の場合は詰めて表示される。

行間を開けるのに複数の改段落を続けることで実現している場合があるが、この方式では改段落位置がページの最初や最後になった場合不要な空行ができてしまったり、後から段落間のサイズを変えたいと思った場合に文書全体を見なおさないといけない問題が出てくる。
改段落と書式にで設定した場合は、同一ページ内での改段落のみで行間が空くようになるし、行間の距離は書式の設定で文書全体を一度に変更することが出来る。

文書の区切りが悪い時、ページの最下部までいかずに改ページしたい時がある。
そのようなとき決してやってはいけないのが、次ページに文書を送りたいがためだけに改段落を繰り返して無理やり次のページに送ってしまうこと。
後で行を追加したり減らしたりといったわずかな修正を行うだけで次ページに不要な空白が開いたり、次ページに表示すべき内容が前ページに表示されたりする。
必ず「書式」で見出し1改頁や見出し2改頁を使う。
図表改頁や備考改頁が必要であれば作っても良い。

まとめると、改行すべき場所では改行を使う。文字の位置を合わせる目的で2回以上続けて改行、改段落は使わない。
行間を空けたいならそれらは書式とスタイルで行う。

使わない機能

使う機能に対して使わない機能は山ほどある。
書式設定のツールバーで言えば「スタイルと書式」ボタンと「スタイル」ボタン以外の全てのボタン。
改ページ、2回以上連続した改行と改段落、タブによるインデント、スペースによるインデント・・・
すなわち、スタイルと書式以外の全ての見た目に対する機能。
そして多すぎる量のスタイルと書式。

結果

これらを達成すると、「編集記号」はかなりシンプルになり、「スタイルと書式」は洗練された少ない項目となり、適切な量の「改行と改段落」で構成されたシンプルなドキュメントが出来る。
つまり、Wordが難しかったのは必要な機能が足りなかったわけではなく、過剰に機能を使っていたのが原因。
本当に洗練されたスタイルと書式のテンプレートが完成したらWordでメモ帳に直接文字を書くように綺麗で読みやすい文書を書くことが出来る。
適切なWordではみ出した文字や白紙を吐き出すプリンターとおさらばしましょう。

余談

冒頭でも書いたけれど、Wordを理解するのにはXHTMLを書いた経験がとても役に立った。
HTMLにはレイアウト情報を載せず、レイアウトをスタイルシートに任せるというのは、Wordにおける本文とスタイルの関係に近く、PタグとBRタグが改段落と改行に一致する。
Validationに通るXHTMLとスタイルシートを書くというのはWordを理解する近道だと思う。

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